ベニシジミ


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ベニシジミはとても派手な色をした蝶です。 日本で一番派手な蝶はクジャクチョウ、二番目がベニシジミ、と言うのが私の個人的感想です。 ベニシジミは早春から晩秋まで、近くの野原や川原で普通に見ことが出来るのですが小さいので派手なわりには気が付かないかも知れません。

私の家の近くに相模川という大きな川が流れています。 この川は六月になると鮎を釣る人達がやって来るのですが、堰堤の上流は流れが穏やかでちょっとした湖くらいの広さがありウインド・サーフィンやカヌーで遊んでいる人もいます。 広大な川岸には野球やサッカーのグランド、ラジコン飛行機の滑走路、モトクロスの練習コースなどがあり、たまにエンジンの付いたパラグライダーやエンジン無しの大きな凧が飛んでいることもあります。

川の土手には遊歩道が続き、両側に雑草の生い茂っている場所も沢山あり、ここが私の普段の撮影場所になっています。 ここで最も数が多く目に付く蝶がベニシジミなのです。 ベニシジミは飛んでもすぐに近くの花や草の上に降りるので追いかけながら写真を撮ることになります。 遊歩道を歩いたり走ったりしている人達の奇異の目に晒されながら、近づくと飛んですぐ止る、近づくと飛んですぐ止る、を繰り返していると、なかには逃げるのが面倒になるらしく、「うっとおしい、とっとと撮って帰れ」、とポーズを取る奴もいたりします。 そこで御好意に甘え、花や葉っぱの上で利発そうな目をしてじっと空を見上げる凛々しい姿を何枚か撮らせて頂くと、私は満足してカメラをしまい帰途に付くことになります。

朝、まだ草に付いた露が光っている頃、草の茎につかまりじっとしているベニシジミを見かけることもよくあります。 こんな時にはカメラを近づけても逃げないので綺麗な写真を撮ることが出来るのですが、気に入った写真が撮れることはほとんどありません。 明るい日差しの中で花の蜜を吸っていたり、葉っぱの上で日向ぼっこをしていたり、仲間同士で追いかけっこをしている元気な姿がやはりベニシジミには似合っているような気がします。


ベニシジミは日本全国に分布し寒冷地では年2回、暖地では4〜5回発生します。春と秋に発生する個体はご覧の写真のように鮮やかな紅色をしています。 夏に発生する個体は前翅全体が黒っぽくなり、あんまり綺麗じゃないなあ、と思いながら写真を撮ることになります。 食草はギシギシ、スイバだそうで、なるほど何処にでもいる蝶なのです。


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